昔々。子供のいない、年寄の夫婦がいました。
二人は神様に、「どうか子供を授けてください」と熱心にお願いをしました。
おかげさまで、うれしいことに子供が生まれました。でも、その子供は、親指より小さかったのです。そこで、一寸法師と名前を付けました。一寸法師は、なんねん経っても大きくなりません。
おじいさんとおばあさんは、心配でよるも眠れないほどでした。一寸法師は、あまり心配をかけてはいけないと、旅に出ることにしました。
「私は立派な人になるため、都に行こうと思います」
おじいさんとおばあさんは、驚いてやめなさいととめました。でも、一寸法師の決心は変わりません。仕方なく、旅に出すことにしました。
一寸帽子はお椀の船に橋の櫂に、腰に貼りの刀を差して、川を上りました。
都に着くと、一寸法師は三条様の屋敷に行って
「ここに置いてください」とお願いしました。
三条様は、お姫様の遊び相手にと、一寸法師を屋敷に置いてくれました。お姫様も、小さ一寸法師をとてもかわいがりました。
あるひ、一寸法師とお姫様は、清水の観音様にお参りに行きました。
道の途中で、突然大きな鬼が出てきて、お姫様を攫って行こうとしました。
「待ってっ」
一寸法師が大きな声で言いながら、腰に差した針の刀を抜きました。鬼は、足元ではりの刀を構えている一寸法師を見て、笑いながら言いました。
「お名前のような子供など、人のみだ」
そして、一寸法師をつまみあげると、ぺろうと飲み込んでしまいました。
鬼のおなかの中に入った一寸法師は、針の刀でちくちくとお腹の中を差しました。
「痛い、痛い」
鬼はお姫様を放り出し、一寸法師を口から吐き出すと、どこかに逃げていきました。後に、小さな小槌が落ちていました。
「これは、打ち出の小槌というもの。ほしいものがなんでも出てくる宝物です。」
お姫様はそういうと、小槌を振って
「一寸法師の背でろ背出ろ」といいました。
たちまち、一寸法師の背が伸びて、立派な若者になりました。
そして、お姫様と一寸法師は結婚して、いつまでも幸せに暮らしたということです。