芥川龍之介の『蜘蛛の糸』は、日本人ならたいていの人が知っている有名な小説だ。この小説の中で、地獄で苦しむ罪人カンダタは晴か高い極楽から下がってきた一本の蜘蛛の糸を上がっていくが、欲を出したためにいとは切れてしまい、再び地獄に落ちてしまう。ここで蜘蛛の糸は、細かく切れやすいものの象徴として使われている。
しかし、蜘蛛の糸というのはけして弱いものではない。よわいどころか、我々が普通思っているよりもずっと丈夫なものである。もちろん、人間を支えるとなると一本の糸では無理だが、実際に蜘蛛の糸で人間の体をダサえることに成功した例がある。ある研究者だが、約19万本のコガネグモの糸を束ねて、長さ約10センチ、太さ2.6ミリのロープを作り、それで直径約8センチの輪を作った。そして、この輪で木にハンモックを作り下げ、自ら乗ってみた。すると、ハンモックは落ちることもなく、ぶらんこのようにゆらしても、糸は少しの見ただけだったという。それもそのはず、実は、お味太さで比べれば、蜘蛛のいとは鉄の数倍もつよく、ナイロンと同程度、あるいはそれ以上の伸縮性を持っているのだ。